「ダンスマガジン」1月号

「ダンスマガジン」1月号(新書館)が届いたので早速拝読しました。

DANCE MAGAZINE (ダンスマガジン) 2010年 01月号

DANCE MAGAZINE (ダンスマガジン) 2010年 01月号

今秋リニューアルして3号目。前回5年前のリニューアル時からの路線を受け継いでビジュアルに見易い誌面づくりを心がけているのが感じられます。「稽古場のダンサーたち」「バレリーナ 美の秘密」といった新連載は、鑑賞者にもバレエを習っている層にも興味深い内容。吉田都「東京-ロンドン日記」では吉田さんがロイヤル・バレエでの最後の一年にかける思いがひしひしと感じられます。そして最近の同誌では、ロシア・バレエ系に誌面を割く割合が増えている印象。今月はニーナ・アナニアシヴィリグルジア国立バレエの現地取材のほか来年1月に東京バレエ団ラ・シルフィード』に客演するレオニード・サラファーノフのインタビュー記事も。毎号何かしらの記事の載るパリ・オペラ座バレエはじめ欧米カンパニーの情報とのバランスも良く充実しているのでは。
また、同誌はバレエとくに内外の大バレエ団のみならず各地の団体やコンテンポラリーについても取り上げています。今号でも名古屋や関西のバレエ公演のレビューが出ていますし、コンテンポラリー・ダンスの祭典「ダンストリエンナーレ TOKYO」についても総括レポートが。先月号では現代舞踊協会「時代を創る 現代舞踊公演」についてレポートが載っていましたし、今号では「アーティスティック・ムーブメント・イン・トヤマ」という大学生による創作ダンスコンクールの詳細な報告が出ています。誌面に限りもありますしバランスは難しいでしょうがバレエ中心に偏りない編集ではないでしょうか。
そして最後に触れておきたいのが「ダンスマガジン・インタビュー」。今号登場したのは貞松融と浜田蓉子(貞松・浜田バレエ団)。夫妻が神戸の地でバレエ活動をはじめて半世紀の歴史が語られます。1960年代バレエ団結成前後の話は関西バレエ黎明期を知るうえでも貴重なものでしょう。バレエ学園を開設し踊り手を育てつつ兵庫県内を回る学校公演によってバレエ普及に努める雌伏の時代。子息の貞松正一郎がローザンヌ国際バレエコンクール入賞を果たし、本格的な全幕公演も行うようになった1980年代の躍進。阪神・淡路大震災に見舞われながらも内外の一流振付者や団員による創作を上演する「創作リサイタル」を毎年開催するなど意欲的活動を続け今にいたる絶頂期。そしてこれから。地域に根ざしつつ世界に通じるバレエ団を志向するカンパニーの過去・現在・未来が熱のこもった言葉によって語られ感銘を受けました。必読。