江口隆哉賞、河上鈴子記念スペイン舞踊賞、服部智恵子賞が決定

昨年度の舞台成果に対する顕彰がはじまりました。まず、社団法人 現代舞踊協会制定の第27回江口隆哉賞および第14回河上鈴子記念スペイン舞踊賞(2年に1度)、社団法人 日本バレエ協会制定の第26回服部智恵子賞が発表されました。
【第27回江口隆哉賞】

加賀谷香(『パレードの馬』等に対して)
能藤玲子 (創作舞踊団五十周年記念公演『葦の行方』『限られることの』に対して)
http://www.kk-video.co.jp/news/2010_eguchi_kawakami/index.html

【第14回河上鈴子記念スペイン舞踊賞】

曽我辺靖子(『compas de la luna』に対して)
http://www.kk-video.co.jp/news/2010_eguchi_kawakami/index.html

【第26回服部智恵子賞】

森田健太郎(牧阿佐美バレヱ団/新国立劇場バレエ団オノラブル・ダンサー)
http://www.j-b-a.or.jp/hattori-prize_10winner.html

江口賞にはモダン=コンテンポラリーの中堅として活躍する加賀谷と、北海道を拠点に長年息の長い活動を続ける能藤が選ばれました。加賀谷は各現代舞踊舞踊コンクールにて1位を総なめにした後、ダンサーとして多くの振付家作品で活躍する傍ら自作も数多く発表し『パレードの馬』で大ブレイクした逸材です。コンテンポラリー・ダンスの観客にもアピールできる秀作を放ちました。能藤は東京で上演された小品をいくつかしか観れていませんが、動きへの意識の高さが並々ではない押しも押されぬ大家。地域に根付き質高い活動を行ってきた大家たる能藤と、高度な技量を活かしつつつ広い観客層に訴求できる可能性を持つ加賀谷を選んだことは、バランスの取れた選考では。河上鈴子記念スペイン舞踊賞の曽我部は、受賞作で大好評を博しながらも2008年度の文化庁芸術祭にて賞を逸しただけに、今回の受賞の喜びはひとしおでしょう。
服部賞の森田は、スコティッシュ・バレエを経て牧阿佐美バレヱ団に入団しプリンシパルを務め、新国立劇場バレエ団でも主役を重ねてきました。ノーブル・ダンサーとして得がたい貴重な人です。昨年は、井上バレエ団にも客演するなど活躍し実力者ぶりを発揮。バレエ業界もうひとつの権威・橘秋子賞優秀賞に続いての受賞となり、日本バレエ史に確実に名を刻む踊り手となりました。ここ3年、服部賞には逸見智彦、田中祐子、森田と牧阿佐美バレヱのプリンシパルが選ばれていますが、1990年代からシーンを牽引してきた実力者だけに日本バレエ史に名が残ることを心から喜びたいです。