沖縄で今夏、初の本格的バレエコンクール開催

わが国で行われているバレエコンクールは年々増え続け、もはや20や30と言う数では済まない状態に。今年になっても既に長野、浜松で新たなコンクールが行われ、夏には横須賀でも新規のものが開催される。そんななか注目したいのが、今夏、わが国の南西部、最西端の沖縄ではじめて本格的なコンクールが行われるということだ。
沖縄といえば、古来からの琉球舞踊が盛んで、洋舞となると戦後、アメリカ軍の統治下でじょじょに発展を遂げてきた。東京や大阪といった地域や本場ソ連との交流もほとんど難しいような苦しい状態であったと想像できる。日本への領土返還後10年を経て、社団法人日本バレエ協会の沖縄支部が設立され(1982年)、各地との交流等活発な活動を行い、有力なバレエスタジオもいくつか存在する。近年では国際的なバレエコンクールでの上位入賞者や海外のバレエ団で活躍する素晴らしい逸材も出てきた。
そんな沖縄バレエ界にとって、地元の若い人材を育成しシーンを活気づけ、また、中国や台湾、韓国といったアジア諸国とも近いという立地を活かして沖縄バレエの存在を内外にアピールしていく格好の場となるのが、本格的なバレエコンクールの開催であろう。待ち望まれた(であろう)コンクールが、今夏行われる「第1回琉球新報バレエコンクール」(8月20〜22日 於:浦添市てだこホール)。地元紙の琉球新報社が主催するもので、協力にチャコット、協賛 に学校法人 大原学園がはいって、さらに、県や地元放送局等の有力団体が後援につくなどバックアップ体制には非常に強力なものがある。
部門はクラッシックバレエ個人、クラッシックバレエ団体、創作舞踊と3つ(出場〆切は6月30日)。出場者の国籍は不問であり、当初は地元や本州、九州等からの出場者が多くなるだろうが、将来的には国際的な催しとなるのを視野に入れているのではないか。審査員もロシア・ボリショイ・バレエ団専属振付家のイリーナ・ラザレワ、アメリカ中心に内外で活躍しABTダンサーも踊った『ゼファー』などで知られる振付家・佐々保樹、戦後バレエの巨星・小牧正英の衣鉢を継ぎアジア各地との交流を深めるなどこのところ存在感をいや増している東京小牧バレエ団団長・菊池宗ら国際色豊かな顔ぶれ。
近年、中国や韓国のバレエは急激に世界的注目を集め、台湾でも著名な雲門舞集(クラウド・ゲイト舞踊団)の活躍に加え国際的バレエ・ガラ公演が行われるなどシーンは活況を呈しているようだ。そういった国・地域と近い沖縄という場所で、新しい、独自の、グローバルな舞踊文化の華が開くためにも、コンクールの成功を心から願いたい。