Noism1が6月、チェーホフ国際演劇祭に参加

金森穣率いるNoism1チェーホフ国際演劇祭に参加することは以前から報じられていたが、いよいよその時が近づいてきた。昨秋に初演された『Nameless Poisn〜黒衣の僧』は同演劇祭との共同制作作品であり、6月4〜6日にモスクワで上演。
http://chekhovfest.ru/projects/performance/performance_20.html
同演劇祭は1992年創設。ロシアの中心的な演劇フェスティバルとして定着し、これまでにピーター・ブルックピナ・バウシュ、アリアーヌ・ムヌーシュキン、ロバート・ウィルソン、リン・ファイミン、金森が兄事するという鈴木忠志といった世界の巨匠や文楽の公演も参加している。金森/Noismは代表作『NINA〜物質化する生け贄』を持って3年前の2007年に参加済みだ。フェスティバルとの共同制作という形のプロジェクトに発展したのは実績とネットワークがあったからだろう。リアルタイムといえるタイミングで日本の現代パフォーミングアーツがどんどん紹介されるようになってきたのは喜ばしい。
『Nameless Poisn〜黒衣の僧』は、アントン・チェーホフの小説「黒衣の僧」「六号病室」から想を得たもので、チェーホフ作品の底流にある苦悩を現代に通じる普遍的なものとして捉えている。自己と他者との間のコミュニケーション不全や無名性のなかをさすらう現代人の実相を怜悧に描く。『Nameless Hands〜人形の家』に続く「見世物小屋シリーズ」の第2弾ということもあり、全編にただようアングラ・テイストを青臭く感じる向きもあるようで、好みは分かれると思うが、現代社会の問題に切り込む創作姿勢を支持したい。チェーホフの本場・ロシアでどのような反響を巻き起こすのか注目される。


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