三島由紀夫 没後40年

今年は作家・三島由紀夫の没後40年にあたる。
関連イベントも行われている。先日まで銀座シネパトス「特集:日本映画レトロスペクティブ Part9〜没後四十年 映画で辿る三島由紀夫」では三島原作映画が連続上映されていたし、山中湖にある三島由紀夫文学館では今月30日まで「没後40年記念展示」として三島の学生時代の作文・絵画を中心にした収蔵品展が行われている。
音楽・舞踊界でも三島に関連した公演が行われる。まず今月23日に幕を開ける新国立劇場オペラ『鹿鳴館』は今年のオペラ界の最大の話題になること必至といわれているようだ。故・若杉弘芸術監督のラスト・シーズン最後の演目として創作委嘱したもので、音楽は、池辺晋一郎の書き下ろし。台本・演出を担うのは、新国立劇場演劇芸術監督で昨年の演劇賞を総なめした鵜山仁。新国立としても相当に力を入れたと思われる。明治時代の社交界を描く三島文学の精華がどうオペラ化されるのか注目されよう。
そして、バレエでは、12月に東京バレエ団モーリス・ベジャール振付『M』(1993年)を5年ぶりに再演する。『ザ・カブキ』に続く東京バレエ団への書き下ろし大作は、三島の人生や文学、思想を大胆かつ骨太に描いたもので、奔流のように渦巻くイマージュの数々に圧倒される。ベジャールの才気が存分に発揮されており、三島とベジャールのケミストリーによる独特な美世界に好みは別れようが、熱烈な支持者も少なくない。バレエ・ファン以上に演劇・音楽・文学ファンや関係者などが感化されやすいようだ。今回の話題は三島の幼少期を思わせる少年の4人の分身や肉感的エロスの極み“聖セバスチャン”を誰が演じ踊るかということ。初代“聖セバスチャン”の首藤康之は特別団員に退き、2代目の大嶋正樹も退団してフリーで活動している。誰が踊るのか。分身役のなかでも狂言回し的な役割で重要なIV(シ)に関しても初代の小林十市、2代目で現・新国立劇場の古川和則に続く抜擢が誰になるのか。今から発表が楽しみなところ。


鹿鳴館 (新潮文庫)

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三島由紀夫―ある評伝

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