佐多達枝 合唱舞踊劇O.F.C.『カルミナ・ブラーナ』映像

合唱舞踊劇O.F.C. (代表:柴大元)による佐多達枝 演出・振付の合唱舞踊劇『カルミナ・ブラーナ』の映像が新たに編集されYouTubeにアップされている。
“歌、踊り、そして打楽器等の演奏、これら根源的な人の表現手段を有機的に結びつけた新しい融合芸術”を合唱舞踊劇(Choral Dance Theatre)と標榜するO.F.Cは、新たしい形の融合芸術、総合芸術を志向して活動を続け、昨年にはJ.S.バッハの大曲「ヨハネ受難曲」合唱舞踊劇化して大成功に導いた。その原点であり、この集団の設立のきっかけともなったのが、1995年にドイツの作曲家カール・オルフ(1895〜1982)の代表作「カルミナ・ ブラーナ」を作曲家の生誕100年にあわせて上演したことである。以後、たびたび再演を重ね、O.F.C.の文字通りの代表作となった。
芸術監督を務める演出・振付の佐多は1970年代から「カルミナ・ブラーナ」を使った創作を何度も試みていたが、全曲上演はO.F.C.の合唱舞踊劇が最初だったという。O.F.C.版では、合唱隊を踊らせるというのが特徴だ。その後は合唱隊コロスが踊らない合唱舞踊劇版ではないバージョンも手掛け、名古屋、新潟で上演している。数ある佐多作品のなかでも後世に確実に受け継がれていく作品のひとつといえるだろう。
今回、アップされた映像は、2004年に東京文化会館で上演された際のもの。足川欣也や堀内充、多々納みわ子といった1980〜1990年代からの佐多作品の常連と、2000年代以降佐多作品の中心的存在となった石井竜一、島田衣子らが一緒の板のうえに立っているという貴重な舞台である。同作は2011年3月に再演が行われるが、そこでも石井や武石光嗣といったいまの佐多作品の中軸と堀内、安達悦子、高部尚子といったベテラン勢や佐多のスタジオの手兵、それに、進境著しい三木雄馬のような気鋭の若手までが共演する。世代を超えた名ダンサーにして売れっ子の面々がよく顔を揃えるなといつも感心させられるが、それだけ佐多がダンサーたちから尊敬を集めているという証だろう。来春の舞台でも彼らが輝かせる佐多ワールドに浸りたい。
O.F.C. 合唱舞踊劇 CARMINA BURANA