斎藤友佳理 著「ユカリューシャ」の文庫版刊行!

わが国を代表するバレエ団・東京バレエ団のプリマバレリーナとして長年第一線で活躍されている斎藤友佳理さんの書かれた「ユカリューシャ」が文庫本になるようだ。
斎藤友佳理著「ユカリューシャ」が文庫本に
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ダンサー生命を左右しかねない大怪我や出産からのたびたびの復帰を得て活躍する斎藤が、その波乱万丈の半生を書き下ろした単行本(世界文化社刊)は2001年に刊行されて話題を呼んだ。単なるバレエ本ではなく女性の生き方を示した一冊として多くの読者を得たものであるが、今回の文庫化にあたっては、その後、ロシア国立モスクワ舞踊大学院に5年間通い首席で卒業した学生生活や悲願であったクランコ振付『オネーギン』のタチヤーナを踊るまでの日々について加筆しているという。
今春のタチヤーナ役(歴史に残る名演だろう)や今秋のジゼル役の演技を観てもつくづく感じたのだが、斎藤の踊りには全くと言っていいほどに私欲がない。これ見よがしに己の上手さをひけらかしたり、上っ面の演技で観客に媚びを売るようなするような俗っぽい邪念は微塵もない。完全なる無我の境地に達している。日舞や現代舞踊のベテランの踊り手のごくわずかにそういった人はいないではないが、バレエの踊り手で彼ら/彼女らに匹敵するする存在はそう多くはない。斎藤は稀有な存在である。それはバレエにおいてだけでなく生き方からしてストイックでいるからだと思う。
稀代の名プリマの生き方を知る貴重な一冊となるであろう。ぜひ一読したいところだ。


斎藤友佳理「ユカリューシャ」 [DVD]

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