Noism01『人形の家』とNoism&金森穣の予定

Noism01秋の公演『Nameless Hands〜人形の家』新潟公演最終日を観た。新シーズンの開幕を飾る公演だが2004年の結成以来よくぞここまで続いていると思うと感慨深い。前日にはNoismの活動をはじめ文化行政に理解の深い篠田市長が3期目の当選を決めたというニュースもあり、市内で耳にしたラジオではそのことについて触れていた。文化都市・新潟のシンボルとしてNoismの活躍に一層期待したい。
さて、『人形の家』は金森穣振付の「見世物小屋シリーズ」第1弾として2008年に初演され好評を博した。朝日舞台芸術賞にて「舞踊賞」「キリンダンスサポート」を獲得。今回は「キリンダンスサポート」助成を得ての再演だ。チケット価格が通常より安価に設定された。公民問わず助成金というものが目に見える形で観客に還元されることは、助成金の大きな存在意義のひとつであるといえる。なんとも喜ばしい限りだ。
舞台の内容や感想については他で触れたい意向があることもあって簡単に。
同作は、金森/Noismにとってエポックメイキングな作品となった『NINA〜物質化する生け贄』とも重なる「人形」というテーマを扱う。ストラヴィンスキーからぺルト、梅林茂、中島みゆき、ヨー・ヨー・マらの作曲した多彩な音楽にのせられた景が続く2幕構成の大作だ。2年前の初演時と構成・内容は基本的にそう大きくは変わっていないと思う。初演時はアングラチックな味わいや意表を突くような選曲等も相まって異色の大胆な問題作といった印象が強かったか。今回、再見してみると、しっかりとした構造とテーマを持った金森らしい構想力に貫かれたものだったという意を新たにさせられた。
初演と大きく異なるのは出演者10人のうち初演メンバーが、井関佐和子、宮河愛一郎、藤井泉の3人のみということ。新たにリ・クリエーションされた印象もある。振付・演出が精緻になり人形や黒子、それに人間との関係性がより鮮明にうかびあがった。ダンスの強度も増した感。演者には、前回を超えないといけないというプレッシャーがあったと思うが、金髪からおかっぱ頭!に変えて踊った井関や見世物小屋の支配人役の宮河ら初演メンバーは確実にパワーアップしている。新たに加わったメンバーもそうは感じさせないくらい金森の紡ぐ見世物小屋の世界に息づいていた。
本作は来年2月に愛知・高知で上演される。間口の広い作りで主題もしっかりしていてスケール感もある。金森の代表作のひとつとして挙げて不足ない。「一度観たから」と今回パスした人、もちろん前回未見の人やNosimを観たことのない人でも観て損はないと思う。公演プログラムも金森と作家の古川日出男の対談はじめダンサーへのインタビュー等内容が充実しておりNoism&金森ファンなら「買い」といえるだろう。
最後にNoismと金森の今後について。Noismは12月上旬にはパリにて『NINA』を上演するほか、来年2月には前記の『人形の家』愛知・高知公演。以下、Noismの春以降の公演予定を掲載する。情報源は配布チラシおよび「Noismサポーターズ会報」。
3月には研修生カンパニーNoism2の発表公演、5月には4年ぶりに外部振付家招聘企画を行う。後者の招聘振付家は以前にもNisimに振付けた面々で再会に期待といったところ。8月には金森が初めてオペラの演出を手掛けるようだ。これは観たい!

Noism2春の定期公演
小尻健太 振付新作
金森穣 振付レパートリー

出演:Noism2
2011年2月25日(金)、26日(土)17:00、27日(日)17:00/りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館スタジオB
チケット料金:1,500円

Noism1 2011年春 新作公演
演出・振付:稲尾芳文&クリスティン・ヒョット・稲尾、アレッシオ・シルヴェストリン、金森穣
出演:Noism1
2011年5月27日(金)19:00、28日(土)17:00、29日(日)17:00/りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館劇場
料金:一般-5,000円 学生-2,500円

サイトウ・キネン・フェスティバル松本
バルトーク/オペラ『青ひげ公の城』
バルトーク/バレエ『中国の不思議な役人

(2本立て4公演)
指揮:小澤征爾
演出:金森穣
演奏:サイトウ・キネン・オーケストラ
会場:まつもと市民芸術館
フェスティバル期間:2011年8月8日〜8月28日(予定)

NOISM無設限舞團《NINA−渚Q娜物語》10/16〜18 國家戲劇院


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