2011年2月

今月は来日ものが少ない。メジャーなものでは、フラメンコの人気舞姫率いるマリア・パヘス舞踊団『ミラーダ』(2/19-20@Bunkamuraオーチャードホール)くらいだろう。創立20周年記念公演で新作世界初演。招聘元のカンバセーションが昨年末に倒産したが、無事パルコに引き継がれ公演されるようだ。あと、横浜で日本×カナダ 共同制作公演・カハーウィ・ダンスシアター公演(2/19-20@ランドマークホール)がある。
マリア・パヘス コメントmovie

国内バレエでは東京バレエ団「ダンス・イン・ザ・ミラー」(2/4-6@ゆうぽうとホール)が最大の話題。ベジャールの旧作をジル・ロマンが新たに編成し直したもので、ベジャールの歩んできた道程を振り返る祝祭感富んだ舞台となりそう。谷桃子バレエ団『ラ・バヤデール』(2/5-6@東京文化会館)も注目される。主役級に個性と実力ある人が揃っているし、3幕の幻影の場の舞台美術の美しさは格別だ。NBAバレエ団『新・白鳥の湖(2/19-20@ゆうぽうとホール)は、エストニア国立バレエからアレナ・シュカトラが客演するのを観られる貴重な機会。東京シティ・バレエ団・シティ・バレエ・サロンvol.1「TOKYO CITY BALLET LIVE 2011」(2/24@ティアラこうとう小ホール)は小ホールでの新作バレエ集という新企画らしい(チケット完売の模様)。新国立劇場バレエ研修所の成果発表の場である「エトワールへの道程2011」(2/19-20@新国立劇場中劇場)もバレエ・フリークなら抑えたいところか。佐々木大、法村圭緒、吉本真悟、中島周らが多ジャンルの男性ダンサーたちと組む『GQ Gentleman Quality 紳士の品格』(2/10-13@サンシャイン劇場)も楽しみ。西島千博らの出る「ザッツ スーパーコラボレーション!!」(2/25@江東区文化センター)というイベントもある。
ジル・ロマン「ダンス・イン・ザ・ミラー」を語る

コンテの公演もいろいろ。なんといっても「横浜ダンスコレクションEX2011」(〜2/22)はコンペ部門や受賞者公演、ショーケースと目白押し。期待は受賞者公演に登場するCI部の宝栄美希。異様にやわらかい関節を持っていて彼女のダンスは必見といえる(今回はグループワーク)。他の公演で注目したいのは2008年度のトヨタコレオグラフィーアワードにて「次代を担う振付家賞」を獲得した金魚(鈴木ユキオ)『HEAR』(2/4-6@青山円形劇場)。辻直之(アニメーション)、内橋和久(音楽)とのコラボレーションで昨夏の金沢公演が好評を博したというから期待したい。Noism1『Nameless Hands〜人形の家』(2/2-3@愛知県芸術劇場、2/16@横浜赤レンガ倉庫1号館ほか)は金森穣の代表作のひとつなので未見の人はフォローしたいところ。愛知では人気者の共演黒田育世近藤良平『私の恋人』(2/9-10@愛知県芸術劇場小ホール)がある。山口では梅田宏明新作ダンス公演『Holistic Strata』(2/19-20@山口情報芸術センター)も行われる。そして、マイムのCAVA(さば)『Continent』(2/4-6@アサヒ・アートスクエア)もおもしろい。エジンバラ・フェスで好評受けての凱旋公演で、フィジカルな演技の魅力にエンターテインメント性も備え、知的興奮をももたらす俊英集団だ。
Yukio Suzuki 鈴木ユキオ 【HEAR】 PV

CAVA_CONTINENT_mime.mov

岩淵多喜子のDance Theatre LUDENS『Anonym〜失い得るもの〜』(2/18-20@吉祥寺シアター)は実力者だけに折り目正しい上質なコンテンポラリーダンスを味あわせてくれそう。天才舞姫・内田香率いるルッシュワルツ『真実』(2/18@セシオン杉並)は個性豊かな踊り手がパワフルに踊って気分爽快にさせてくれること請け合い。ケイ・タケイs ムービングアース・オリエントスフィア『CHANTING HILL』(2/12-13@日暮里サニーホール)はポストモダン期のアメリカ中心に世界的に活躍した舞踊家のグループワーク。輝く未来『いないあなたとここにいて』(2/24-27@STスポット)は残念ながら彼らの解散公演となる。ヨシフ・イワノフ&伊藤郁女(2/27@吉祥寺シアター)は、欧州の著名振付家から引く手あまたの伊藤が新進ヴァイオリニストと共演する。高嶺格『Melody Cup』(2/19-20@横浜赤レンガ倉庫1号館)、川口隆夫 『TABLEMIND』(2/23―27@川崎市アートセンターアルテリオ小劇場)は、実力派の異才アーティストの公演なのでファンには見逃せないところか。天狼星堂舞踏公演ソロ小品集2011は身体・空間制御術に長けた大倉摩矢子のソロをチェックしたい。 Noismの研修生カンパニー・Noism2春の定期公演2011(2/25-27@りゅーとぴあスタジオA・B)は金森穣の旧作とNDT1で活躍した小尻健太新作が見られる。
Roussewaltz "moon"

演劇系もいくつか。チェルフィッチュ『ゾウガメのソニックライフ』(2/2-15@神奈川芸術劇場大スタジオ)は岡田利規待望の新作だけに見落とせない。世界の小劇場 Vol.1 ドイツ編は世界の同時代のパフォーミングアーツを紹介する意欲的な企画。ベルリン発のイキのいい舞台が見られそう。おなじみのリミニ・プロトコル『ブラック・タイ』(2/25-27)ほかシー・シー・ポップ『遺言/誓約』(2/19−20)、アンドカンパニー&Co.『道化の霊廟』(2/26-27)が上演される。会場は神奈川芸術劇場。脚本・演出・映像:奥秀太郎、主演・振付: 黒田育世(BATIK)による『サウス オブ ヘブン』(2/26-27@ PARCO劇場)というステージもあるようだ。
「世界の小劇場 vol.1 ドイツ編」リミニ・プロトコル トレイラー