小島章司、勅使川原三郎、森優貴〜相次ぐ欧州公演

ジャンルや年代、文脈は違えども日本を代表するといっても過言ではない舞踊家振付家である3人が、2月に相次いで欧州で公演を行う。
最初は2009年秋に文化功労者に選ばれたフラメンコ界の巨人・小島章司。第15回「フェスティバル・デ・ヘレス」に招聘される。1997年から開催されるフラメンコの祭典。上演されるのは2009年初演の際に好評を博した『ラ・セレスティーナ 〜三人のパブロ〜』。15世紀ルネッサンス期のスペイン古典文学を代表する悲劇を題材にしたドラマティック・フラメンコの名作だ。世紀の舞姫と評されるエヴァ・ジェルバブエナにも振付けるハビエル・ラトーレとのコラボレーションがスペインでも上演を果たすという快挙となる。アキレス腱を断裂するというアクシデントから復帰した小島を祝したい。
(2月27日於ビジャマルタ劇場 Teatro Villamarta ヘレス・デ・ラ・フロンテーラ市)
ARTE Y SOLERA 鍵田真由美・佐藤浩希フラメンコ desnudo 小島章司

2人目は、近年日本での公演が増えているが、ヨーロッパ中心に長年海外ツアーを展開している勅使川原三郎。2月15日からグルノーブル(フランス)のメゾン・ドゥ・ラ・クルトゥール・ドゥ・グルノーブルにて勅使川原三郎のソロ『ミロク』、佐東利穂子のソロ『SHE‐彼女』、グループワーク『鏡と音楽』という、近年、新国立劇場はじめ日本の劇場で初演された意欲作を連続上演する。欧州のダンスフェスティバルや舞台芸術祭の常連といえる勅使川原とはいえ3作が続けて上演される機会はなかなかないだろう。日本のコンテンポラリー・ダンスの先駆者・大御所であるが、つねに最前線を走っている。
(『ミロク』2月15、16日、『SHEー彼女』2月18、19日、『鏡と音楽』2月23、24日 メゾン・ドゥ・ラ・クルトゥール・ドゥ・グルノーブル )
Miroku - Saburo Teshigawara

最後は、ドイツのヴィースバーデン・バレエ/トス・タンツカンパニーにダンサー兼振付家として所属する森優貴オーストリアインスブルック・チロル州立劇場/インスブルック・ダンスカンパニーから委嘱されシェークスピア悲劇の1つ「オセロー」を振付ける。森は、古巣の貞松・浜田バレエ団で発表した『冬の旅』『羽の鎖』や酒井はな&津村禮次郎と組んだ能楽とダンスのコラボレーション『ひかり、肖像』など構想豊か・音楽性に富んだ作品を連打し注目集める新鋭であるが、所属カンパニー以外の欧州の名門歌劇場から新作しかも大作を依頼されるのは快挙といえる(『ひかり、肖像』はパリ・ブタベストで上演されている)。欧州拠点にさらなる展開を期待できる若手日本人振付者という点では、右に出る者がいないのは疑いのないところ。一層の飛躍を期待したい。
(2月19日プレミア 以後7回公演を予定 チロル州立歌劇場オペラハウス)
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ひかり、肖像