第43回 舞踊批評家協会賞に森下洋子、吉田都、三木雄馬らが決定

第43回(2011年度)舞踊批評家協会賞の受賞者が決まった。
・受賞者「授賞理由」推薦者(五十音順)

◆本賞
正朔・長岡ゆり「Dance Medium舞踏公演『帰る』の振付・演出・出演で、2011・3・11《東日本大震災》の衝撃を深く受けとめ、その追悼と未来への強い希求を舞台化して感銘を与えた成果に対して」古沢俊美
坂東勝友「第86回女流名家舞踊大会における、長唄『二つ巴』の卓越した構成・振付による女性素踊り群舞の見事な成果に対して」石川健次郎
森下洋子松山バレエ団5月公演『新・白毛女』に於ける喜児・白毛女の強い意志を持った役柄の表現力と高度なダンステクニックに対して」横溝幸子
吉田都「日本に拠点を移して、世界で踊った輝かしいキャリアを結実させた『コッペリア』などの高度で精緻な舞台成果に対して」関口紘一

◆新人賞
五条詠佳「清元『流星』に於ける着実・柔軟な表現力に対して」藍本結井
三木雄馬谷桃子バレエ団公演『ラ・バヤデール』での主役ソロルの優れた成果に対して」伊藤喜一郎
横滑ナナ「自然の中で踊り続けて体得した身体を、『とんがらづき』の舞台で自立させつつ、独自の世界を表現した成果に対して」志賀信夫

(志賀信夫氏によるメールマガジンmaldoror275 より引用)
第43回舞踊批評家協会が決定! チャコット「Dance Cube」
http://www.chacott-jp.com/magazine/news/other-news/43.html
かつて存在した舞踊ペンクラブ等の歴史を引き継ぐ老舗のグループが選んでいる賞。3ヶ月に一度例会を持ち、年が明け2月半ば頃に最終審査を行い、前年度の舞台のなかから正賞3〜5名、新人賞2〜3名程度を顕彰している。
過去の受賞者リストを観ると、わが国の舞踊史が一望できるといっていいくらい目配りの行き届いた選出である。あらゆるジャンルの舞踊から受賞者を選ぶ視野の広さと、国の顕彰や民間の財団等の賞とは違った独自の選択眼のバランスに定評あった。
会員はもちろん評論家である。以前は故・村松道弥、故・江口博、故・早川俊雄ら戦後の代表的な評論家にはじまって現在の大御所の山野博大、うらわまことらが主導的な立場にあり、会員が常時30人ほどいた時期もある。現在の会員数は15名ほどになってしまったものの日本舞踊、舞踏に関しては主導的地位にある人が名を連ねる。
が、バレエを中心とする洋舞に関しては会員数が極めて限られる。近年の洋舞の受賞者に関して異論ないが推薦理由が明確であるか、推薦者が業界内外の信用に足るか否かが厳しく問われるのは致し方あるまい。今年は日舞、舞踏に加え洋舞のバレエ3件とも納得いく推薦であるし、推薦人もキャリアあり受賞者の舞台をちゃんとフォローしている。受賞者にとって何よりであるし協会としてもひとまず体面を保ったといえる。