「横浜ダンスコレクションEX 2012」の審査員講評&川村美紀子 新作『へびの心臓』映像UP!

「横浜ダンスコレクションEX 2012」審査員講評が3/18日、発表された。

コンペティションI 審査員講評
http://www.yokohama-dance-collection-r.jp/jp/file/Jury_reviews_Competition_I.pdf
コンペティションII 審査員講評
http://www.yokohama-dance-collection-r.jp/jp/file/Jury_reviews_Competition_II.pdf

この種のコンペで問題になるのは、審査の経緯や審査員の評価が示されぬまま、うやむやに終わることである。観客からすると、どういう基準で選ばれたか知りたいし、参加者も納得がいかないだろう。横浜のダンコレおよび旧バニョレの選考会では、結果発表時に審査員1名が総評を短時間で述べるだけであったが、昨年から各審査員がコメントを出すようになった。何よりのことで、審査の透明性を高めたといえるだろう。
年始に行われた「ダンスがみたい!新人シリーズ」でも、主に出場者に向けた講評会に加え各審査員が総評を出している。なかなか他ではお目にかかれないような、率直というか良い部分だけでないところもガンガン指摘しているのが特徴だろう。そこまでは難しくても、コンテンポラリー系のコンペにおいて、各審査員がどういう基準で何を推したかを示すべきという流れになっているのは望ましい。それがもっと徹底されるようになることを期待したい。別に隠すような理由は、まずないはずだから。
そして、ダンコレ絡みで、もう一つ。
コンペティション2(新人部門)の昨年度最優秀新人賞受賞者川村美紀子が今年のダンコレで受賞者公演を行い新作『へびの心臓』を発表した。その映像がUPされているのでご紹介しておく。観ればわかるように、なかなかハイテンションなダンスである。川村は、それに先立って「ダンスがみたい!新人シリーズ10」でも圧倒的評価を得て新人賞を受賞した(『がんばったんだね、お前の中では』)。いま、勢いに乗る新鋭。
川村は突き抜けた個性と圧倒的技量によって濃密な世界観を創り出す。ときにエグくてグロテスクなテイストのある作品も作るが、そこを押し切る強い意志に創作者としての高い資質と覚悟が感じられる。ダンサーとして凄いのは言うもおろか。ストリート系のハードな動きも身に着け、四肢を大きくダイナミックに用いた踊りは圧巻である。
感性も踊りも一風変わっているのだが、滅多にお目にかかれない異才である。

へびの心臓(横浜ダンスコレクションEX2012)