第1回「エルスール財団新人賞」コンテンポラリーダンス部門に川村美紀子、選考委員は乗越たかお氏

一般財団法人エルスール財団(代表理事:野村眞里子 プロデューサー/フラメンコ舞踊家)が選ぶ第1回「エルスール財団新人賞」の受賞者が12日、明らかになった。
同財団では、日本の「詩」と「ダンス」の未来を担うアーティストを応援するため「エルスール財団新人賞」を制定。ジャンルは「現代詩」「コンテンポラリーダンス」「フラメンコ」の3つで、毎年11月から翌年10月までの間に顕著な活躍が認められた新人1名(1組)を選んで顕彰するという。
正賞・副賞は賞状、楯、賞金10万円。各ジャンル一人の審査員が選ぶのが特徴で、現代詩は野村喜和夫コンテンポラリーダンス乗越たかお、フラメンコは野村眞里子が審査を担当した。
第1回「エルスール財団新人賞」は川村美紀子
選考理由は同財団HPより読むことができる。
http://www.elsurfoundation.com/index2.html
また、乗越氏の公式ブログ記事に今回の賞の生まれた経緯や選出に関しての氏の考え方が書かれている。自身の目だけを信じ多くのダンス公演に足を運ぶ氏の面目躍如たるものがあろう。
乗越たかおが独断で選ぶ! 新人賞エルスール財団賞コンテンポラリー・ダンス部門創設!】
http://d.hatena.ne.jp/nori54/20121112
乗越さんは以前から国内のダンス・コンペティションの審査員を辞退していることを明言している。その大きな理由の一つが「合議制への懐疑」だという。確かにコンペはもちろん舞踊賞において多数決で決めるというのは忍びない気はする。場合によっては駆け引きめいたものも出て来るかもしれない。ある批評家のサークルの賞など、かつては権威があったが現在では選考委員の存在証明の場と化しているという声も。実績と影響力のある選者一人が明確に授賞理由を示すほうが遥かに説得力と価値がある。
とはいえ、コンペや舞踊賞の審査に関わった実感や過去の事例から鑑みるに合議制における選者たちの真剣な議論の末に導かれた選考にも意義はあると思う。一定の支持を得たものには、それなりの価値がある場合が多いし、舞踊賞の場合、大局的な見地から評価を定めなければいけないという性格の顕彰も。ただ、審査員の意見が完全に一致することは多くないだろう。自身の芸術観やダンス観からして推せない人・作品が賞を取ることもあろう。その場合、大局的な見地から受賞を是としなければ審査は務められない。その点、合議を必要としない賞や顕彰ならば選者の意志をストレートに反映できる。どちらが良い悪いではなくコンペや舞踊賞もいろんな尺度から選ばれるのが健全だ。だから、今回の「エルスール財団新人賞」の誕生を大いに歓迎したい。
川村美紀子「へびの心臓」


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