途中入場者の指定席への誘導について

ダンスや演劇の公演中に遅れてやってきた人の着席問題については前から気になっていたのだが、こちらのblogで取り上げられていたので便乗して書いてみる。

山海塾の東京公演について主催者からの注意事項がHPやチラシ等に記載されていることに関して書かれた内容だ。

以下、山海塾HPよりの引用。

山海塾では、かねてより、お客様から、途中入場の観客への対応を検討して欲しいという要望が多く寄せられてきました。そこで、東京公演では、途中入場の方が観劇中のお客様の前を通って着席することがないように、開演時刻の段階で、ご着席のない席の指定を解除させていただきます。なお、開演時刻後は、こちらで指定するお席にご案内いたします。

遅れてきた観客が上演中に指定席に着くと迷惑になる。そこで“指定するお席”を用意して座らせるというのは理解できる。ただ、前回の山海塾の東京公演の際に目撃したけれども、開演直前に空席がある場合、観客を列の中央に順次詰めていき、端の空いた席に遅れてきた人を誘導するという形をとることになる。
遅れてきた人が座って観られるし、席についてみている観客にとっても視界を遮られることがないので一見スマートなシステムだ。しかし、それではなぜ指定席にして販売するのか理解に苦しむ人もいるのでは(海外では・・・などという意見もあるだろうがここでは一応スルーする)。観易さはもとより帰路を急ぐ予定があるため、あるいは足が悪い等の体調面を考えプレイガイドでわざわざ通路側や端寄りの席を選んで買う方もおられると思う。それなのに移動させられても…センターがすべての人にとって良席とは限らない。そもそも開演時間前にちゃんと席についているのに、遅れてくる人のためわざわざ移動するのは納得できない方も少なくないはず。紹介したblogでも書かれているように“一長一短”ではある。無論、山海塾を批判しているのではない。むしろ観客からのクレームに対し対応を検討しているようなので姿勢としては真摯であろう。
指定席の場合、基本的には、遅れてきた観客にも座る権利があるし、定時に座席に着いた観客には内側に詰めるよう係員に移動を指示されても断ってもいいのでは。今回は「開演時刻に空席の席は、指定を解除する。開演時刻後は指定する席へ案内する」と明言し販売しているため、前者の場合は係員の指示に従う必要があるが、後者の場合は強制できないだろう。やはり遅れてきた人には後方の空席があれば案内し、なければ立見もしくは補助椅子に座ってもらうのがベターではないだろうか。休憩がないならばそう明記して遅れれば指定席につけない、立見になる可能性もあると釘を刺せばいい。休憩や幕の転換がある場合はその際、手持ちの指定席に案内する。中劇場(700席位までであれば)いっそのこと自由席にして前から、中央から詰めて座ってもらえるよう強制ではなくお願いして誘導するのも手ではある。販売数の把握や関係者席等の確保のため指定席にこだわりたいのなら座席数・販売可能数は減るが後方に遅れてきた人用の席を主催者が確保するのもひとつの方法かもしれない(完売公演等であれば空席作る為もったいというか制作者的には考えられないだろうが)。
いずれにせよ観客としては遅刻を極力控えることが肝心。いっぽう主催者は自分の都合のみならず多くの観客に納得を与えるサービスを提供するべく常に努力するべきだろう。いくら優れた作品があっても公演として観客に最良の形で届けるのが主催者(制作者)の仕事だということをあらためて考えてもらいたいと思う。