牧阿佐美バレヱ団『ライモンダ』初日

牧阿佐美バレヱ団『ライモンダ』(全幕)
平成20年度文化芸術振興費補助金(芸術創造活動重点支援事業)
振付:テリー・ウエストモーランド(M.プティパによる)
総監督・改訂振付・演出:三谷恭三
美術:ボブ・リングウッド 音楽:アレクサンドル・グラズノフ
指揮:デヴィッド・ガルフォース 管弦楽:ロイヤルメトロポリタン管弦楽団

ライモンダ:伊藤友季子 ジャン・ド・ブリエンヌ:京當侑一籠 
アブデラクマン:菊地研
(2008年10月24日 ゆうぽうとホール)

牧阿佐美バレヱ団は創立50周年記念事業を終えて以後、クラシック・バレエの名作を続けて上演している。団の活性化を図って若手の抜擢にも積極的であり着実に成果を挙げている。今回は大作『ライモンダ』全幕11年ぶりの上演だ。
同団では1979年にウエストモーランド版を初演して再演を重ねているが、今回はそれを基に総監督の三谷恭三が改訂演出振付を行った。主役はトリプル・キャストが組まれ、どの日を観ようかと悩んだけれども初日を観た。
伊藤は音楽性に秀でている。そして詩的な演技もセンス豊かなものだ。初役ながら健闘をみせていた。京當は精悍さを増し堂々たる演技。菊地はノーブル役もいいがキャラクター役も演じられる幅の広さが魅力である。今回も悪役をサラりと演じてみせあらためてその資質の高さを示していた。
新制作の初日だったがキャラクター・ダンスをはじめとしてダンサーたちは振付をよく吸収、こなれた踊りを披露していた。入念なリハーサルの跡がうかがえる。プティパ最後の傑作の魅力たるクラシック・バレエならではの様式美と民族舞踊によるエネルギッシュな表現のコントラストも明快。なかなか充実した舞台に仕上がっていた。