財団法人せたがや文化財団『友達』

平成20年度文化庁芸術拠点形成事業
財団法人せたがや文化財団『友達』
作:安部公房 演出:岡田利規
出演:小林十市麿赤兒若松武史木野花今井朋彦/剱持たまき/加藤啓/ともさと衣柄本時生/呉キリコ/塩田倫/泉陽二/麻生絵里子/有山尚宏
ポストパフォーマンストーク:岡田利規×野村萬斎
(2008年11月12日 シアタートラム)

演劇、ダンス、文学界で注目を集める岡田利規(チェルフィッチュ主宰)。自劇団の舞台では、若者言葉を脈絡なく垂れ流したような“超リアル日本語”と独特の身振りを特徴とする独自のメソッドを確立している。だが今回、安部公房の代表作を演出するにあたってチェルフィッチュでの方法論は使わなかった。『友達』は、ある平凡な男とその部屋に闖入し居座る9人家族の姿をシュールかつブラックに描いている。元ベジャール・バレエの小林、舞踏の麿はじめダンス、新劇、アングラ・小劇場演劇と多様な出自を持つパフォーマーたちの個性を尊重、彼らの発する言葉と動きが安部作品に新たな息吹を吹き込む。かってこの作品を某新劇団の公演で観たことがあるけれども、その際よりも抜群におもしろい。2時間半近くの長丁場ながら最後まで緊張が途切れなかった。