ボリショイ・バレエ『ドン・キホーテ』

ボリショイ・バレエドン・キホーテ』(全3幕)
振付 : マリウス・プティパ/アレクサンドル・ゴールスキー
振付改訂 : アレクセイ・ファジェーチェフ
指揮 : パーヴェル・クリニチェフ
管弦楽ボリショイ劇場管弦楽団
キトリ/ドゥルシネア : ナターリヤ・オーシポワ
バジル (床屋) : イワン・ワシーリエフ
エスパーダ (闘牛士) : アルテム・シュピレフスキー
ルチア (街の踊り子) : アナスタシア・メシコーワ
メルセデス (踊り子) : マリーヤ・イスプラトフスカヤ
(2008年12月4日 東京文化会館)

昨年のボリショイ&マリインスキー合同ガラで衝撃的な登場を果たしたワシーリエフと前回の来日公演において『ファラオの娘』ラムゼや『ラ・バヤデール』影の王国でヴァリエーションを踊って注目されたオーシポワ。ボリショイの次代を担う新星の共演は期待を上回る楽しい舞台だった。オーシポワは前回観たときは踊りが上手いのはわかるのだけれどもいまひとつ胸に迫る演技ではなかった。今回ははつらつと親しみの持てる演技をみせてくれた。無論身体能力は高いし抜群のテクニシャン。しかしとにもかくにも凄いのがワシーリエフだ。跳躍は目を疑うような高さで一瞬静止したかのように思える。ピルエットもキレがあって滑らか。多少踊りが乱れても客席に強烈にアピールする力もすばらしい。オーシポワとの相性もよくて片手リフトも軽々と。パリ・オペラ座の若手マチアス・エイマンもそうだがひと目見ただけでその大器ぶりが誰の目にも明らかという人はいるものだ。まだソリストだがプリンシパルになるのは時間の問題だろう。