井上バレエ団『くるみ割人形』

井上バレエ団12月公演『くるみ割人形』(全2幕)
芸術監督・振付:関直人
美術・衣装:ピーター・ファーマー
雪の女王:西川知佳子
雪の王子:小林洋壱(東京シティ・バレエ団)
王子:へスス・パストール
金平糖の精:宮嵜万央里
音楽監督・指揮:堤俊作
演奏:ロイヤルメトロポリタン管弦楽団
(2008年12月24日 文京シビックホール大ホール)

井上バレエ団の『くるみ割人形』は関直人の音楽的な振付とピーター・ファーマーによる趣ある舞台美術が相俟って独自の世界を生み出している。このバレエ団はこれまでもブレイク前のスターや玄人筋をも唸らせるようなシブいダンサーを海外から招聘してきた。今回は王子役にへスス・パストールを招いたのが話題だ。マシュー・ボーン版『白鳥の湖』のザ・スワン/ザ・ストレンジャーを2003年の来日公演で踊った際の野生的かつクールでカッコいい演技は語り草。その後、アメリカン・バレエ・シアターソリストとして入団したが久々に日本にお目見えという次第。王子役を誠心誠意踊っているパストールの演技は好感の持てるものだった。金平糖の精を踊った宮嵜万央里はじめ小高絵美子、西川知佳子、田中りなら中堅、若手が急成長。この団の誇るスターダンサー藤井直子、島田衣子に続く世代が育ってきているのは楽しみなところだ。