東京シティ・バレエ団の理事長が石井清子から安達悦子に

この4月から東京シティ・バレエ団の理事長に安達悦子が就任しました。故・有馬五郎のあとを引き継ぎ長年理事長職にあった石井清子は評議員に退くとのことです。
昨年創立40周年を迎えた同バレエ団は、古典と創作両方に着実な歩みを残してきました。石井は出身地でもある江東区と芸術提携を結ぶことに成功。ティアラこうとう江東公会堂)を準フランチャイズ東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団との共演も含め地域に根ざした活動を推し進めてきました。ティアラ“くるみ”の会(旧:江東区にバレエを育てる会)やティアラこうとう・ジュニアバレエ団・教室も先頭に立って指揮、アウトリーチ活動にも積極的で地域文化への貢献には計り知れないものがあります。
新理事長の安達は松山バレエ団を経て東京シティ・バレエ団に入団、長年プリマを務めてきました。モナコにおいて名教師マリカ・ベゾブラゾヴァに師事し、イヴリン・ハートはじめ海外に豊富な人脈を持つことで知られています。石井路線を継承しつつ芸術面においてよりグローバルな視点からの展開を期待したいところです。また、公益法人制度が平成20年12月に改正されたことを受け各バレエ団も社団法人や財団法人あるいはNPO法人化へと傾きつつあります。江東区との芸術提携という強みを活かしつつそういった波に対してどう対応していくのか運営手腕も問われることになります。
今シーズンのラインナップをみると、ティアラこうとう主催『くるみ割り人形』は芸術文化振興基金の地域文化施設活動・展示活動:文化会館の助成を獲得。ティアラこうとうとの共催による新制作『ロミオとジュリエット』、おそらく東京都(都民芸術フェスティバル)の助成もあると思われる新国立劇場での自主公演『カルメン』では同じく芸術文化振興基金の現代舞台芸術創造普及活動:舞踊の助成を受けるなど手堅い運営ぶりが伺われます。黄凱、小林洋壱、志賀育恵、橘るみら人気ダンサーも擁し多くの一般観客にバレエの魅力を伝えている団体だけに一層充実した活動が望まれるところです。