戦後65年に向けて〜日本バレエの過去・現在・未来

このところ、国内の各バレエ団が創立○○周年記念と銘打った公演や祝賀パーティを開いています。去年から今年にかけてだけでも松山バレエ団(1948年創立)、谷桃子バレエ団(1949年創立)といった老舗をはじめチャイコフスキー記念東京バレエ団(1964年創立)、さらには東京シティ・バレエ団(1968年創設)、井上バレエ団(1968年創設)、バレエシャンブルウエスト(1989年創立)、NBAバレエ団(1993年創立)などがそれにあたります。熊川哲也のKバレエカンパニー(1999年創立)も今年で10周年。北海道や名古屋、京都では老舗の団が今年で創立60周年を迎え記念の会などを催しています。
創立60周年というグループは、戦後に本格的にバレエ活動をはじめた人たち=日本バレエ第2世代が立ち上げたもの。1960〜70年代に生まれたのは、それらから独立したり、新たに生まれた団体になります。近年では、新国立劇場開場(1997年)を前後して立ち上げられたカンパニーが意欲的な活動を行い、バレエ界を活性化しています。また昨年秋、新国立劇場舞踊芸術監督の牧阿佐美がバレエ界3人目の文化功労者に選ばれました。戦後バレエの発展、現在の躍進を象徴する出来事でしょう。
今年2月には、牧の演出・振付による『ライモンダ』が新国立劇場において再演されました。最終日の主演は川村真樹と碓氷悠太。それぞれ谷桃子バレエ団最初期に活躍した黒沢智子、松岡伶子の弟子です。すなわち谷の孫弟子。この公演では谷と牧が並んで観劇していました。戦後日本バレエのパイオニア谷と日本バレエ黎明期からの功労者・橘秋子の子女の牧は古くから交流があるとのこと。牧の演出・振付による『ライモンダ』の主役を谷の孫弟子にあたる俊英が踊る。しかも、バレエ人の長年の夢であったといわれる新国立劇場において――。この回り逢わせには感慨深いものが。主演2人の演技も充実、日本バレエの歴史と現在の発展に思いを馳せた舞台でした。
今後、80年、100年と歴史を重ねていく団は出てくるのでしょうか。新国立劇場をのぞき基本的にすべて民間の運営によるもの。継続的な公演活動を行うのには多大な労苦と経済的負担がかかります。とはいえ各地の団体中心に2代目、3代目や後継者が受け継いで発展継続させている所も。来年、戦後65年迎えるにあたり、あらためて日本バレエの過去を知り、現在を考え、未来を展望するのも意義深くないでしょうか。


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