パリ・オペラ座バレエ2009/2010シーズン開幕

バレエの殿堂パリ・オペラ座バレエの新シーズンが9月24日、『ジゼル』全幕によって開幕しました。シーズン開幕に『ジゼル』を持ってきたというのは、古典重視、そしてオペラ座の伝統を重んじる姿勢を打ち出したといえるでしょう。ロマンティック・バレエの名作『ジゼル』の初演は、この劇場で行われています。かつて女性舞踊手がエトワールになるためには、『ジゼル』のタイトル・ロールを踊りこなせなければならないという不文律があったというのは有名な話。オペラ座の原点である特別な作品といえるでしょう。
近年は年間プログラムのほとんどを現代作品が占めるという偏った編成の時期もありましたが、今シーズンは古典・現代作品のバランスのいいプログラミングなのが誰の目にも明らかです。古典ではヌレエフ版の『くるみ割り人形』『ラ・バヤデール』。新古典ではバランシンの『ジュエルズ』。ノイマイヤー『椿姫』が再演され、キリアンの『輝夜姫』が新たにレパートリー入り。『三角帽子』『バラの精』などによるバレエ・リュス プロも。現代作品では、同バレエ団に『ル・パルク』『メディアの夢』を振付けている鬼才アンジェラン・プレルジョカージュ新作『シッダールタ』はじめ意欲作揃い。ベジャール・バレエ・ローザンヌの来演やオペラ座バレエ学校公演も。パリの観客が羨ましくなります。
とはいえ、日本でも今年から来年にかけて、パリ・オペラ座絡みの公演等が続々行われるので楽しみに。来春3月には、パリ・オペラ座バレエの来日公演が東京のみとはいえ開催されますね。今シーズンの開幕を飾る『ジゼル』と、ヌレエフ版『シンデレラ』というグランド・バレエ2演目を上演します。来夏には、「エトワール・ガラ」が行われ、オペラ座エトワール中心のキャストが共演。そして、この秋には映画「パリ・オペラ座のすべて」も公開されます。ヌレエフ世代にくらべると、ダンサーが小粒になったとの評判は拭えませんが、ドロテ・ジルベールやマチルド・フルステー、マチュー・ガニオ、マチアス・エイマンら注目の若手も出てきており、その活躍にも期待したいところ。
最後になりましたが、このたびオペラ座関連の書籍が刊行されるようです。「フィガロ ジャポン」にて連載された記事をまとめたものでしょう。副題にガニオの名が入っていますが、日本デビュー間もない頃、あらゆるメディアにおいて彼の名を頻繁に目にした記憶が・・・。父母がともに世界的な有名ダンサーであったというバレエ界きってのサラブレッド。ガニオのエトワール昇進以後、中堅・若手のエトワール昇進が続きました。やはり新時代のスターにして中心的存在はガニオになっていくのでしょうね。


パリ・オペラ座バレエ物語 夢の舞台とマチュー・ガニオ (FIGARO BOOKS)

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