2010都民芸術フェスティバル参加作品について

毎年新春から春にかけて行われる都民芸術フェスティバル(主催:東京都、財団法人東京都歴史文化財団)。これは“都内で開催されるさまざまなジャンルの優れた舞台芸術公演に助成金を交付し、低廉な料金設定や関連企画を設けたり、日ごろ公演の機会が少ない地域へ展開していくことで、観客層の裾野を広げ、芸術文化の振興と普及を図るための文化事業”(HPより)です。2010年の洋踊の参加公演は4公演。
バレエは3つ。スターダンサーズ・バレエ団 『ジゼル』(1月23、24日 ゆうぽうとホール)は、ピーター・ライト版。ロマンティック・バレエの不朽の名作をリアリティ十分に描いたヴァージョンとして定評あります。ジゼルの死が自殺であるなど明確な舞台設定と緻密な演出は他の追随を許さないものがあります。東京シティ・バレエ団カルメン(2月6、7日 新国立劇場中劇場)は、古典作品とともに創作バレエに力を入れるカンパニー近年屈指の話題作の再演。中島伸欣/石井清子の手によるものですが、ビゼーのオペラで有名な物語を現代の東京を舞台に読み替え描く斬新な演出と才気に富む振付が光ります。志賀育恵&橘るみという、いまが見ごろのプリマが競演するのも見逃せません。日本バレエ協会『ジゼル』(3月27日、28日 東京文化会館)は、メアリー・スキーピング版。1841年パリ初演時の楽譜をほぼ全曲使用したものということで大いに興味をそそられます。そして、全国に組織を持つ協会ならではの贅を尽くした豪華キャスト3組に目が眩みます。ジゼル役を酒井はな(3/27)、永橋あゆみ(3/28 14:00)、島田衣子(3/28 18:30)、アルブレヒト役を青木崇(3/27)、法村圭緒(3/28 14:00)、秋元康臣(3/28 18:30)が競演。どの回も見逃せない顔ぶれといえるでしょう。
現代舞踊は1つ。 現代舞踊協会 「現代舞踊公演」(2月13、14日 東京芸術劇場中ホール)。現代舞踊の中心組織が中堅作家の創作トリプル・ビルを行います。稲葉厚子、小林容子、坂本秀子の作品を上演。同協会は、昨年の都民芸術フェスティバル参加公演では、内田香、蘭このみ、武元賀寿子という現代舞踊畑以外にも名の知れアピール度の高いアーティストの作品を並べ、今年の12月に行う文化庁芸術団体人材育成支援事業「現代舞踊公演」では、池田美佳、菊地尚子、加賀谷香という新鮮な感覚を持った新鋭をフィーチャーする思い切った企画を打ち出しています。それらに比べると、目新しさは薄いラインナップにも思えますが、今回は時流に流されずしっかりとした基礎を持った踊り手を配した、完成度の高い創作路線を狙っているのでしょう。
公演によっては学生席や廉価な席が用意されていたり、今年は不明ですが応募抽選による招待がある場合も。良質の舞踊作品に気軽に親しめる機会だけに、多方面から注目されてほしいですし、上演サイドにもより質の高い上演を期待したいと思います。
2010都民芸術フェスティバル参加公演一覧
http://www.geigeki.jp/fes_001.html