下村由理恵、勅使川原三郎に紫綬褒章

先日、フラメンコ舞踊の小島章司がめでたく文化功労者に選ばれましたが、それに続いて秋の叙勲においてバレリーナの下村由理恵、舞踊家勅使川原三郎紫綬褒章を受けています。これもキャリアある人でもなかなか受章できない狭き門です。
下村の受章で目を惹くのが、その受章年齢の若さ。現役バリバリのプリマが選ばれるのは異例のこと。叙勲・褒章歴からみると、下村は現時点で既に日本のバレエ人のなかで最高峰に足を踏み入れたことになります。女性では、橘秋子、服部智恵子、友井唯起子、貝谷八百子、松山樹子谷桃子、太刀川瑠璃子、牧阿佐美(文化功労者)、佐多達枝、小川亜矢子、小林紀子、大原永子、森下洋子(文化功労者)、川口ゆり子らに続く存在。吉田都ともども早期の受勲が光ります。海外でのキャリアやフリーランスとしての活動の圧倒的な成果からすれば納得のいく選出でしょう。
勅使川原の受賞は、実績やキャリアからいって順当といえるのでは。勅使川原がバニョレ国際振付賞を獲得した1986年はコンテンポラリー・ダンス元年と呼ばれますが(乗越たかお)、それから四半世紀近くを経ての勅使川原の紫綬褒章受章は、コンテンポラリー・ダンスが社会的認知を受け評価されつつある証左ではないでしょうか。
受賞・受章のみで舞踊人の実績や活動を計ることはできません。しかし、舞踊芸術がより社会において根付いていくために社会的評価は欠かせないもの。邦舞に比べまだまだバレエやダンス関係者の受章や受勲は少ないということもあり、今回、狭き門のなか下村と勅使川原の2名が選ばれたことは快挙といえるでしょう。(敬称略)