ショパン生誕200年

来年は前期ロマン派音楽を代表する作曲家フレデリック・ショパン(1810〜1849年)の生誕200年にあたります。ショパンといえば、自らピアノを演奏する傍らピアノ独奏曲を数多く作りピアノの詩人ともよばれる音楽史上に燦然と輝く存在。しかし、生涯を通じて肺結核を患い、ロシア帝国に思うが侭にされる故国ポーランドへの思いひとしおながらも後半生のほとんどをフランスですごした苦悩と漂泊の芸術家でもあります。ショパンピアノ曲を用いたバレエ作品では、ミハイル・フォーキン振付『レ・シルフィード』や今秋ニューヨーク・シティ・バレエ来日公演でも上演され清冽な感動を呼んだジェローム・ロビンズ振付『ダンシズ・アット・ア・ギャザリング』等の名作が知られましょう。
ショパンの生誕200年を迎えるにあたって、それを記念しての作品上演も。古典・創作の上演に加えバレエ史上の貴重な作品の復刻を行なう等多彩な展開でバレエ界を刺激するNBAバレエ団。2月にはディアギレフのバレエ・リュス出身でかのニジンスキーの妹であるニジンスカ振付『ラ・フィユ・マル・ガルデ』を日本初演することが話題になっていますが併せて芸術監督である安達哲冶振付による『ラスト・コンサート』を上演します。「ピアノ・コンチェルト第2番」を用いた創作のようですね。近代バレエ作品や数多の日本初演作品を継承したレパートリー中心に上演活動を行う東京小牧バレエ団は3月に佐々保樹版『火の鳥』と同時に『ショパン賛歌“憂愁”』を上演。これもショパンピアノ曲を使ったもので、菊池唯夫・菊池宗によって1990年に初演されています。ロマン派音楽家の哀しみの生涯とこれまた不遇の生涯をすごした詩人・石川啄木の詩に想を得て創作されたもの。今回、酒井正光が再振付し、ショパン役を李波が踊るようです。
またショパン生誕200年を謳ってはませんが、2月上旬に行われるNBS/日本舞台芸術振興会主催「マニュエル・ルグリの新しき世界」公演Bプロ「ルグリと世界の輝けるスターたち」では、オーレリ・デュポンとフリーデマン・フォーゲルがショパン曲・ロビンズ振付『アザー・ダンス』を踊ります。昨夏のNBAバレエ団「ゴールデン・バレエ・コー・スター」において同作品を踊ったアシュレイ・ボーダー&サイモン・ジョシュア・ボールの名演が記憶に新しいですが、珠玉の名品にまた触れられるのは楽しみなところ。
舞踊と音楽は切っても切離せない関係。多くの振付家は普段から多くの音楽(とくにクラシック)を聴いたり、創作に当たって集中的に曲探しをしたりするとか。観客としてもバレエ・ダンス公演で耳にした音楽を家に帰って改めて聴いてみたり、耳にした曲やその作曲家について調べてみたりするとよりダンスが奥深く楽しめるように。ショパンの曲についても改めて脚光を浴びる機会なのでまた色々と聴いてみたいものです。

ショパン:ピアノ名曲集

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決定版 ショパンの生涯

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