マリインスキー・バレエ『白鳥の湖』横浜公演

マリインスキー・バレエ来日公演が開幕、横浜公演『白鳥の湖』初日を観た。
数ある『白鳥の湖』のなかでもマリインスキーの上演には格別なものがある。いまや世界各国で上演される『白鳥の湖』だが、その礎を築いた1895年のプティパ/イワノフ版が初演されたのがマリインスキー劇場。そして、1950年以来今日に至るまで同劇場が世界各地で上演するセルゲーエフ版は、本家本元らしい優雅さ・品位を備えた決定版のひとつといえる。
今回印象的だったのが音楽。劇場付きオーケストラではないがボリス・グルージン指揮の東京ニューシティ管弦楽団の演奏。舞踊と音楽が緻密に結びついている。第1幕1場城の庭園では、王子の友人たちや道化たちの踊りがレベランスもそこそこにきびきびとテンポよく進む。指揮者が音楽面を主導していく舞台づくりは本場ならでは。
マイムもこなれている。これもバレエ学校時代からマイムや演劇のレッスンを受けているからこそ。年季が違う。キャラクター・ダンスも充実。スペインでもナポリでもマズルカでもテンポ、リズム感が大切なのはいうに及ばず腕や方の使い方や角度等もちゃんと決まっていてそこを崩さずにやれるのはやはりロシアの本場ならではと痛感できる。
オデット/オディールはアリーナ・ソーモワ。プロポーション抜群で柔軟性にも優れとにかく脚がよく上がる。柔軟性はあるのだけれども軸もしっかりしていて腕・肩・腰にかけて出るラインはとてもきれいだ。2幕舞踏会の場におけるグランフェッテでは、ダブルを入れつつ微動だにしないほぼ完璧な出来。会場は大いに沸いていた。ジークフリート王子のウラジーミル・シクリャーローフ。2007年にソリストに昇進した若手ながら端正でいて甘い雰囲気もあって今後に期待できそう。
現在のマリインスキーでは、プリマでいえば『眠れる森の美女』『イワンと仔馬』にも主演するソーモワ&テリョーシキナさらにはオブラスツォーワといった若手もどんどん出てきていている。もちろんロパートキナ&ヴィシニョーワという大スターも健在。楽しみな時期はまだまだ続きそう。
マリインスキー・バレエ公式HP
http://www.japanarts.co.jp/html/2009/ballet/mariinsky/index.htm