ユース・アメリカ・グランプリ10周年記念 ガラ公演

アメリカはじめ世界各地のバレエスクールで奨学生として学ぶ権利を得ることのできるバレエコンクールがユース・アメリカ・グランプリ(YAGP)。毎年ニューヨークで本選が行われます。9〜19才のダンスを学ぶ生徒たちが妍を競い、審査員らによるワークショップも開催。バレエ関係者の貴重な交流の場ともなっているようです。パリ・オペラ座の最年少エトワールのマチアス・エイマンもこのコンクール出身。いまや老舗で伝統を誇るローザンヌ・バレエコンクールに匹敵するイベントとして注目されています。ガラ公演では世界のトップスターが出演、年々存在感を増しているコンクールと言えるでしょう。
2010年度開催に向けての日本予選が先日、兵庫・尼崎にて行われ、22日にはガラ公演が東京で行われました。YAGP出身者をはじめとしたプロに加え、本年度の日本予選参加者もデフィレ等に参加。若々しいエネルギーにみちたガラとなりました。
第一の出来は、ニューヨーク・シティ・バレエプリンシパルペアのアシュレイ・ボーダー&ゴンサロ・ガルシアによる『チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ』。ボーダーのフレージングの巧みさとバランシン・スタイル特有の細かなポアント裁きの見事さには心底唸らされました。当代随一のバランシン・バレリーナといって過言ではないでしょう。すばらしいの一言!ガルシアもぶれない踊りで、きっちりとポジションが入ります。途中から手拍子が起きるという異常事態が発生しましたが(『チャイパド』で手拍子が起きるとは・・・)、早々お目にかかれないすばらしい出来栄えだったため興奮のあまりなのでしょう。
アリーナ・コジョカル&セルゲイ・ポルーニン『海賊』は最後に上演され、大いに盛り上がりました。コジョカルは、今夏の「世界バレエフェスティバル」や11月に客演した東京バレエ団くるみ割り人形』では本調子ではない印象でしたが、今回ははつらつとした踊りを見せてファンを喜ばせました。ゆっくりゆっくり脚を上げ、長く長くキープしたイタリアン・フェッテに会場は湧きに湧きました。ゲンナディ・サヴェリエフの『ゴパック』も一級品の仕上がりで会場は興奮の渦に。康村和恵清水健太熊川哲也版『ロミオとジュリエット』のバルコニーの場。若者の生き急ぐ恋の激しさいとおしさを表現し尽くして妙でした。酒井はな&ジェイソン・レイリーはコミカルな逸品『ザ・グラン・パ・ド・ドゥ』を。昨秋のシュツットガルト・バレエ来日公演でブレイクしたレイリーを観られ幸運。酒井は夫君の島地保武と組んで島地振付のコンテンポラリー『プシュケ』も踊りました。
YAGP2010のニューヨーク本選は来年の3月21〜26日に行われます。2011年度の日本予選は来年の10月11日〜14日に東京・大井町きゅりあんにて開催。若い才能たちが世界に羽ばたく飛躍の場として今後の展開も見逃せないところです。
(2009年12月22日 文京シビックホール大ホール)
YAGP New York City Finals 2009 - Junior & Senior Top Winners