長谷川寧の打ち出す越境という試み〜[EKKKYO-!]

[EKKKYO-!](1月14日〜17日 東京芸術劇場小ホール1)という催しを観ました。冨士山アネットのproduce公演。これは、演劇やダンス、パフォーマンスといった枠を超えて、いま、注目されるエッジーな団体やアーティストを企画・構成の長谷川寧みずからセレクトして並べたイベントです。一昨年の9月、下北沢ザ・スズナリでの公演に告ぐ第二回目。前回は、業界ネタや紙芝居コントで笑わせてくれた夙川アトムや「妙ージカル」を標榜した異色パフォーマンスを行うFUKAIPRODUCE羽衣、ポスト・チェルフィッチュの代表格といえる演劇制作チーム快快(faifai)らの登場もあって盛り上がりました。
今回の出演は、モモンガ・コンプレックス、ライン京急、ままごと、CASTAYA Project、岡崎藝術座、冨士山アネットという6組。ダンスありマイクパフォーマンスありネタバレ厳禁の仕掛けものありと総じて楽しめました(すべてが好みというわけではなかったですが・・・)。演劇、ダンスといった枠を越え内外で積極的に活動している冨士山アネットのプロデュース企画ですが、主宰の長谷川自身が興味を持ち、自身の創作とも重なる“ボーダレスな感覚”を持っていると感じているものを集めたブレない姿勢は頼もしい。
コンテンポラリー・ダンス界ではコンペティションが減少したり、かつてとは方向性の違う性質のものに変容しています。演劇界では若手を紹介・育成するフェスティバル等が減ってしまいました。劇場やプロデューサー主導によるショーケースのようなものはあるにはありますが、アーティスト側が観客に活きのいいパフォーマンスを披露し、新たな出会いが可能になる場を生み出しているのは新鮮です。ジャンルにとらわれない越境する表現を気負わずに楽しめる場を提供する長谷川のフットワークの良さと発信力は注目されていいでしょう。厳しい御時世だからこそ、出会いや活動の場は自分たちで探し、求めていかなければいけないのも事実。楽しくも示唆に富むイベントでした。