劇団「ふるさときゃらばん」倒産に思う現実と理想

全国各地でオリジナルミュージカル等を精力的に上演してきたことで知られる劇団「ふるさときゃらばん」が破産しました。
http://www.yomiuri.co.jp/entertainment/news/20100223-OYT1T00086.htm
http://www.jiji.com/jc/c?g=ind_30&k=2010022200925
ニュース記事によると、劇団「ふるさときゃらばん」(東京都小金井市)と関連会社の「ふるきゃらシネマ」(同)が、22日までに東京地裁から破産手続き開始決定を受けたそうです。負債は2社合計で6億4700万円。ふるさときゃらばんは1983年に創設され、“地方の応援団”と称して、オリジナルのミュージカルなどをを全国各地で上演。各地域の青年団などと提携して公演を行ってきましたが、年間200回あったこともある公演数は、昨年はその半分程度までに落ち込んだようです。人件費等の負担大きく、景気の悪化によるスポンサーの撤退が倒産の引き金となったとのこと。
残念なニュースです。昨秋の「事業仕分け」問題でも改めて浮き彫りになりましたが、本格的な舞台芸術活動を続けるのには膨大な予算がかかる。公演活動のみならず維持費や人材育成への投資も含めると気が遠くなります。それを民間だけで行っていくのは至難の技。経済的な犠牲と常に背中合わせのなか活動しているあらゆる文化事業団体の熱意には、頭が下がる思い。あらためて敬意を表したいと思います。
とはいえ、劇団「ふるさときゃらばん」破産のニュースに際して、YAHOO JAPAN!ニュース内のネットユーザーのコメントを見ると、冷静というか厳しい言葉が。“理想を実現するのは難しい”“補助金やスポンサー後援提供は、景気が縁の切れ目になる。公演は年間スケジュールが固定されるから止めることも出来ない。自転車操業ゆえの破綻。現在の倒産形態の縮図”“いつまでも、あると思うな、寄付と補助金。景気が悪くなるとまっさきに切られる。”文化予算状況をめぐる現状が冷静に指摘されており、そして、よくも悪くも世間の芸術への認識の一端を示しているともいえるのでは。いかに現実と折り合いをつけ、理想とする活動を続けるか――。古今東西あらゆる舞台芸術の永遠の課題ともいえますが、少しでもよい方向に向かうことを願わずにいられません。