ローザンヌ国際バレエコンクールのテレビ放送

今年2月に行われた「ローザンヌ国際バレエコンクール」決選がNHKにて放映される。
スタジオには最高得点を得てスカラシップ賞とコンテンポラリー賞を受賞した高校2年生の菅井円加(佐々木三夏バレエアカデミー)を招く。解説は、このところ定着した安達悦子(一般財団法人 東京シティ・バレエ団理事長・芸術監督)。過去の放送では、おっとりした口調で的確な解説を行いつつときに辛辣な指摘もみせ好評を博している。今回審査員を務めた吉田都、新潟発のNoismを率いる金森穣のインタビューも入る。
菅井の受賞の報は大手紙やテレビでも大きく報道された。過去にないフィーバー。1位入賞というのは確かに快挙ではある。が、先例はあるし「将来性」を評価するコンクールにおいて何よりも大切なのは「その後」である。熱狂ぶりにはを違和感を覚えた。
なにはともあれバレエに対して多大な注目が集まったのは疑いない事実である。わが国では踊り手として職業的なプロフェッショナルとして活動することが容易ではない現状がある。それを打破する足掛かりになれば何よりだと思う。菅井はハンブルク・バレエ・スクールへの留学が決まっている。世間の期待や注目をプレッシャーと感じないで、のびのびと学んで、プロの踊り手として大成してくれることを心より願っている。
今回、金森がインタビューを受けているというのはコンテンポラリー部門における菅井の高評価あってのことだろう。方々で指摘されているが、菅井の入賞の余禄のひとつがコンテンポラリー・ダンスという言葉が広く周知されたこと。得難いことだ。金森とNHKといえば同社とNHKプロモーションの共催による「NHKバレエの饗宴2012」(於:3月31日 NHKホール)においてNoismが金森振付の『solo for 2』を上演し大反響を呼んだことが思い起こされる。日本の代表的なバレエカンパニーが集ったこのガラは6月にNHKにて放映されることが決まっている。ワールドワイドな活躍を見せるNoismの活躍によって古典バレエだけでなくコンテンポラリー・ダンスの魅力が広く伝わることは望ましい。
かつて「NHKバレエの夕べ」を催し、また多くのバレエ番組を制作・放映してバレエ芸術の発展・普及に多大な貢献を果たしてきたNHKであるが、近年はマニュエル・ルグリ、吉田都によるバレエ講座を放映し今年は「NHKバレエの饗宴」を上演・放映するなどしている。バレエを取り上げる機会が再び増しているのは喜ばしい。

第40回 ローザンヌ国際バレエコンクール
チャンネル :Eテレ
放送日 :2012年 5月13日(日)
放送時間 :午後3:00〜午後5:00(120分)
ジャンル :劇場/公演>ダンス・バレエ
【ゲスト】バレエ・ダンサー…菅井円加
【出演】元英国ロイヤル、バレリーナ吉田都振付家・ダンサー…金森穣
【解説】安達悦子
【きき手】柘植恵水
(NHKサイト参照)
http://www.nhk.or.jp/classic-blog/100/117741.html
http://cgi4.nhk.or.jp/hensei/program/p.cgi?area=001&date=2012-05-13&ch=31&eid=16759