東京新聞制定 平成25年度 中川鋭之助賞に瀬島五月(貞松・浜田バレエ団)が決定!

東京新聞制定 平成25年度(第19回目)中川鋭之助賞の受賞者が13日、公表された。
受賞者は瀬島五月(貞松・浜田バレエ団)。
平成25年度 瀬島五月さんが受賞
http://www.tokyo-np.co.jp/event/bu/nakagawa/
中川鋭之助賞は「日本の舞踊界で活躍し、近年国内あるいは国外で優れた業績をあげ、今後さらに飛躍が期待されるバレエまたは現代舞踊の若手ダンサー」に贈られる。受賞者は東京新聞が委嘱する選考委員若干名と東京新聞関係者の協議により決定。選考会開催に先立って参考として候補者について舞踊関係者にアンケートを求めている。本年度の選考委員はうらわまこと、北井一郎、藤井修治、林愛子の各氏。
関西拠点のため全国的知名度はまだまだと思うので多少詳しく解説しておく。
7歳から神戸の貞松・浜田バレエ学園にてバレエをはじめる。18歳のとき「全日本バレエコンクール・ジュニアの部」 第1位、翌年には「アジアパシフィック国際バレエコンクール・シニアの部」 第1位を獲得。英国ロイヤル・バレエスクールに留学しレスリー・コリアらに学ぶ。卒業公演では現在ヒューストン・バレエの芸術監督として知られるスタントン・ウェルチ振付『A Time To Dance』に主演している。ロイヤル・ニュージーランド・バレエ団入団後は主役・ソリストの経験を重ね、帰国後は貞松・浜田バレエ団に入団。
華やかな容姿、堅実な技術もさることながら豊かな音楽性と明確な意思をこめた解釈・表現力に秀でている。
公私のパートナー、アンドリュー・エルフィンストンと息のあったパートナーシップを築き、『眠れる森の美女』オーロラ姫、『白鳥の湖』オデット/オディール、『くるみ割り人形』お伽の国の女王、『ジゼル』のタイトル・ロール、『ドン・キホーテ』キトリなどを踊る。役柄解釈の確かさとテクニックをしっかり役に惹きつける抜群の表現力を発揮している。
現代作品/コンテンポラリーでの活躍も目覚ましい。東京でも2度披露しているオハッド・ナハリンの超人気作『DANCE(マイナス16)』のソロ・パートで魅せた即興の楽しさとパワフルさに富んだ踊りはインパクト大。イリ・キリアンの『6DANCES(Sechs Tänze)』での軽妙洒脱でユーモラスな演技も絶品である。バランシン『セレナーデ』では優れた音楽センスをみせている。貞松・浜田バレエ団出身でドイツ・レーゲンスブルク・バレエの芸術監督を務める森優貴の『Memoryhouse』も印象深い。欧州コンテンポラリー・ダンス特有の身体使いを体得したうえで、森作品ならではの動きの微細なトーンのポイントを押さえつつ独自のニュアンスを表現。芸術性が際立っている。
関西中心の活動だったが、その力量が次第に知られるようになり、来たる3月16日、公益社団法人日本バレエ協会の都民芸術フェスティバル参加公演『白鳥の湖』主演に抜擢される(共演は奥村康祐)。また、新春に新国立劇場の地域招聘公演として行なわれた貞松・浜田バレエ団東京公演でも主軸を務め観客・関係者に強烈にアピールした。
賞歴としては地元の県や市の奨励賞等を受けたのと昨年末、ようやく文化庁芸術祭新人賞(舞踊・関西)を手にしたくらい。活動の場が関西に限られると注目度が下がってしまうのは否めない。新国立劇場共催地域招聘公演という檜舞台があったとはいえ、そのハンディを押しのけての受賞は快挙。中川賞受賞者の受賞年齢からすると若干年長ではある。しかし、この賞は将来性を重視している。将来性=必ずしも若ければいいというわけではない。中川賞の受賞者リストをみると、バレエ界もしくは現代舞踊界の中軸として大きく活躍することを念頭に選ばれてきているのは明らかだ。その意味において期待できそう。古典/現代作品ともにきっちりと踊りこなす得難い存在である。


Croise (クロワゼ) Vol.30 2008年 04月号 [雑誌]

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