バレエノアによる話題作『紙ひこうき』高崎公演

昨年4月、群馬県・高崎のバレエスタジオを母体とするNPO法人バレエノアがさいたま芸術劇場にて上演した作品が凄まじい反響を呼びました。ピナ・バウシュ&ヴッパタール舞踊団で踊っていたファビアン・プリオヴィユが振付けた『紙ひこうき』です。
詳しくは評論家諸氏による評論集を読んでいただければと思いますが、女子高校生たちの日々抱える内面の葛藤をリアルに描き出したもので、実際に同年代の女の子たちが出演しています。「学校なんて嫌い!」という叫び声にはじまり、90分間にわたって繰り広げられるコラージュの数々を通して彼女たちの内なる叫びが痛切に伝わってきます。ナイーブな心情を表すのにダンスという表現はなんと雄弁なものか。いまを呼吸するコンテンポラリーダンスとして刺激的、唯一無二の異色作といえます。
昨春の初演が話題を集め、8月には東京・世田谷パブリックシアターで急遽再演。11月には「ピナ・バウシュ国際ダンスフェスティバル」に招かれました。さいたま公演の反響を受けて東京公演は朝日舞台芸術賞(現在は休止)の審査対象となり、最終選考では舞踊賞を最後まで争いました。今年は来る7月にドイツの「ビーレフェルト・ダンスフェスティバル」に招聘されます。それに先立って今回、地元・高崎で公演が行われたという次第。超満員の会場は熱気にあふれ、終演後は盛大な拍手を浴びていました。
7月7日(火)にはNHK総合テレビ11:05〜11:54「こんにちはいっと6けん」において『紙ひこうき』やバレエノアの活動が紹介されるそうです。群馬の一バレエスタジオから生まれた作品が、あれよあれよという間に広く注目され、海外公演まで果たしたことはミラクルな出来事。短期で再演を重ねたため、助成金の応募等が追いつかず、経済的犠牲を払っての上演のようです。若い出演者たちの「いま」が鮮烈に刻みこまれた作品を少しでも多くの観客にみせたい、という主催者の熱意には頭の下がる思いです。

コンテンポラリーダンス『紙ひこうき』
振 付:Fabien Prioville
照 明:杉浦弘行
音 響:Hans Hansen
舞台監督:森荘太
出 演:福島あや/清水帆波/中村恵莉/藤井咲恵/坂口翠/白井静帆/庄司妃輝/鈴木奈々/樋口桃子/松本美帆/佐藤由紀乃
(2009年6月29日 高崎市文化会館)

『紙ひこうき LES AVIONS DE PAPIER』抜粋映像↓