第37回 橘秋子賞決定!大原永子、佐々木大らが受賞

(公財)橘秋子記念財団制定 第37回橘秋子賞の受賞者が14日分かった。

特別賞:大原永子
優秀賞:佐々木大
功労賞:野間康子
舞台クリエイティブ賞:森岡
スワン新人賞:清瀧千晴

わが国バレエ界の最高権威といえる顕彰で、これまでの受賞者は押しも押されぬ重鎮ばかりである。毎年受賞者を選んでいたが今回より隔年での選考となった。
特別賞の大原は戦前からの日本バレエのパイオニア橘秋子の愛弟子で戦後を代表するプリマである。森下洋子や川口ゆり子の姉弟子にあたり、英国スコティッシュ・バレエのプリマとして長年活躍するなど海外経験も豊富。踊り手として橘秋子賞優秀賞も受けた。今回は新国立劇場バレエ団の監督補としての活躍を評価されての受賞であろう。英国での経験も活かし、バーミンガム・ロイヤル・バレエ団のトップと兼任である芸術監督デヴィッド・ビントレーを支えて団を牽引しているのは間違いないだろう。
優秀賞の佐々木大は関西を中心に活躍する男性ダンサーのトップ・クラス。昨年3月、篠原聖一の自主リサイタル『ジゼル』全幕に主演し下村由理恵と組んでの演技が高評を得た。7月には菊池宗率いる東京小牧バレエ団が新国立劇場オペラ劇場で盛大に催した小牧正英生誕100年記念公演の『ペトルウシュカ』タイトル・ロールを務めた。『ドン・キホーテ』のバジルや『バフチサライの泉』のヌラリなど超絶技巧を思う存分駆使しての踊りによって注目されてきた佐々木であるが、アルブレヒトペトルウシュカを踊り新生面に挑んだことが評価されたと思われる。これで芸術選奨文部科学大臣新人賞、中川鋭之助賞、松山バレエ団芸術奨励賞、服部智恵子賞に続く栄誉となった。
功労賞の野間は大阪・堺を拠点にバレエ団を結成し定期的に活動を続けてきた。古典全幕のほか中村恩恵にコンテンポラリー作品を委嘱するなど活発な活動が目につく。文化庁芸術祭(舞踊部門・関西)では大賞こそ獲得していないが、団や子女の野間景が相次いで優秀賞を得るなど関西有数の団として存在感をみせている。
舞台クリエイティブ賞の森岡は言わずと知れた舞台監督の大御所(ハージャイム代表)。新国立劇場バレエ公演や熊川哲也Kバレエカンパニーをはじめとする国内の主要バレエ公演の多くに関わってきた。当然の受賞であろう。
日本のバレエを愛した篤志家の遺した基金を基に授与されるスワン新人賞は牧阿佐美バレヱ団の清瀧が受ける。6回目となる今回、男性では初の受賞となった。シャープなテクニックと清潔な演技を持ち味とする気鋭で大成が期待される。


バレエに育てられて―牧阿佐美自伝

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