BALLET

ベジャール没後3年

20世紀バレエ革新を大胆に押進めた巨匠モーリス・ベジャールの死からはや3年。 現在、ベジャール・バレエが来日中。ベジャールの衣鉢を継いだジル・ロマンに率いられ、ベジャール死後の同カンパニーの真価が問われるツアーといえる。先日はスービン・メータ…

バランシン・バレエ

このところ牧阿佐美バレヱ団『セレナーデ』、新国立劇場バレエ団『シンフォニー・イン・C』を立て続けにみて「バランシンっていいな」と今更ながらに思った。 バランシンのアブストラクト・バレエが「音楽の視覚化」と呼ばれることは周知のとおりだが、舞踊…

ユース・アメリカ・グランプリ(YAGP)2010 日本予選結果

入賞者に世界各地のトップクラスのバレエスクールで学べる機会が提供されるユース・アメリカ・グランプリ(YAGP)。国籍を問わず9〜19才のバレエを学ぶ生徒を対象にしたものだ。以前、この種のコンペはローザンヌ国際バレエコンクールの独擅場であったが10年前に…

さまざまのバレエ&ダンス『くるみ割り人形』たち

このほどオーストラリア・バレエ団が3年ぶりに来日してグレアム・マーフィー版の『白鳥の湖』『くるみ割り人形』による東京公演を行った。古典バレエの名作をそれぞれ大胆な解釈によって装いも新たに創り直したもので、『くるみ割り人形』は全幕上演として本…

森優貴 演出・振付 新作『冬の旅』全曲 世界初演へ

神戸の貞松・浜田バレエ団「創作リサイタル22」として10月11日(祝・月)新神戸オリエンタル劇場にて森優貴 演出・振付の新作『冬の旅』全曲 世界初演が行われる。 森は同バレエ団出身で、ドイツでダンサー/振付家として活躍している逸材。弱冠32歳であるが振…

ヤン・ファーブル、貞松・浜田バレエ団、モノクロームサーカス×服部滋樹(graf)、日本舞踊 五耀會、チェルフィッチュ

9/23(木・祝)〜25(土)までの3日間は関西・中国方面に取材出張&観劇に出ていた。改めて触れる機会もあるかもしれないので、ここでは簡単な報告のみ。 23日はまず兵庫・伊丹アイホールにてヤン・ファーブル『Another Sleepy Dusty Delta Day〜またもけだるい…

東京バレエ団『ジゼル』横須賀芸術劇場公演・斎藤友佳理&木村和夫主演

東京バレエ団が『ジゼル』全幕の全国ツアーを展開している。9月8、9日に東京で催したアリーナ・コジョカル&ヨハン・コボーという英国ロイヤル・バレエ団のスターを招いての上演を経て、10日から首都圏近郊および地方での公演が始まった。主演はいずれもバレ…

東京バレエ団『ジゼル』アリーナ・コジョカル&ヨハン・コボー主演初日&全国ツアー

東京バレエ団『ジゼル』全幕@ゆうぽうとホール(9/8-9日)初日を観た。ジゼル役にアリーナ・コジョカル、アルブレヒト役にヨハン・コボーという、英国ロイヤル・バレエ団屈指の名プリンシパルにして公私に渡るコンビを迎えた公演として注目された。 コジョカ…

東京バレエ団『ジゼル』全国公演ダンサー紹介記事を寄稿(ネット上でも一部閲覧可)

来る9月8日、9日、東京・五反田ゆうぽうとホールにて、東京バレエ団 が英国ロイヤル・バレエ団からアリーナ・コジョカル&ヨハン・コボーを招いて『ジゼル』全幕を上演する。英国ロイヤル・バレエきっての若き名花コジョカルが十八番のジゼル役を公私のパー…

木村和夫の実力

発売中の「ダンスマガジン」10月号の対談インタビュー記事(聞き手:三浦雅士)に登場したのが木村和夫(東京バレエ団)。記事は題して“「オネーギン」、奇跡の秘密〜斎藤友佳理と築いたパートナーシップの舞台裏”。今年5月に行われた『オネーギン』でタイトル・…

東京バレエ団『ドン・キホーテ』ダニール・シムキン&小出領子 初日

東京バレエ団『ドン・キホーテ』初日@ゆうぽうとホールを観た。ダニール・シムキン&小出領子 主演。公演プログラムに、小出と他日に主演する上野水香&高岸直樹についての紹介記事を寄稿させていただいたこともあって楽しみにしていた。 昨夏の世界バレエ…

佐多達枝 合唱舞踊劇O.F.C.『カルミナ・ブラーナ』映像

合唱舞踊劇O.F.C. (代表:柴大元)による佐多達枝 演出・振付の合唱舞踊劇『カルミナ・ブラーナ』の映像が新たに編集されYouTubeにアップされている。 “歌、踊り、そして打楽器等の演奏、これら根源的な人の表現手段を有機的に結びつけた新しい融合芸術”を合唱…

「ローザンヌ・ガラ2010」にみる現代バレエの現在形と未来のゆくえ

1989年に行われた「ローザンヌ国際バレエコンクール東京開催」を記念して、その会場となった青山劇場を舞台に繰り広げられるガラ・コンサート「ローザンヌ・ガラ」が3回目を迎えた(8月7日所見)。同コンクール東京開催の際に名誉総裁を務められ、バレエのみ…

『コッペリア』三昧の秋

近年、我が国のバレエ界においてチャイコフスキー三大バレエ、それに『ジゼル』や『ドン・キホーテ』とともにもっともよく上演される全幕バレエが『コッペリア』だろう。パリ・オペラ座で1870年に初演されたこのバレエは、E.T.A.ホフマンの「砂男」に想を得…

里帰り組の活躍

毎年夏になると、海外で活躍する「里帰り組」の活動が楽しみなところ。 ダンサーでいえば、先日行われた文化庁主催の「バレエ・アステラス☆2010」や、今週末に行われる「ローザンヌ・ガラ2010」というガラには、欧米のカンパニーで活動する踊り手が華やかに…

第21回「清里フィールドバレエ」初日『白鳥の湖』

山梨県・清里高原の観光施設「萌木の村」(代表:舩木上次)にて行われる「清里フィールドバレエ」は今年で21回目を迎えた。いまやその存在は広く全国に知られ、大手紙等でも毎年報じられるようになった。今年は今村博明・川口ゆり子夫妻の主宰するバレエシャン…

MRB松田敏子リラクゼーションバレエ「バレエスーパーガラ バレエコレクション2010 in OSAKA」

MRB松田敏子リラクゼーションバレエ「バレエスーパーガラ」は1999年以来毎夏、大阪で開催されるバレエ・ガラ公演。関西で活躍する一線級を中心とした踊り手が一堂に会するわが国有数のガラ・コンサートとして定着している。12回目の今回も盛り沢山な内容で楽…

小林十市のダンサー復帰!!について思うこと

東京バレエ団が12月にモーリス・ベジャール振付『M』を5年ぶりに再演する。先日、その配役が発表されたが、狂言回し役であるシ(死)役に、初演キャストである小林十市が特別出演するというニュースにはかなりの反響があるようだ。確かにサプライズ! ベジャ…

松岡伶子バレエ団「アトリエ公演」の意義と成果

名古屋の松岡伶子バレエ団は、愛知・三重・岐阜の3県に30箇所の教室を持つ、日本でも有数の規模を誇るバレエ団体。今年で創立58年を迎え、内外で活躍する踊り手を多数輩出している。ジュニア育成に定評あるだけでなく、20歳前後の、まさにバレリーナとして飛…

東京バレエ団海外公演700回と高岸直樹・由良之助

先日、東京バレエ団がミラノ・スカラ座での『ザ・カブキ』公演をもって海外公演700回を達成した。東京バレエ団のblogのほかネットメディアでも取り上げられている。 http://www.thetokyoballet.com/news/ 海外公演700回目は偉業だが、さらに驚いたのが、記念…

艶やか極まりない法村珠里『ドン・キホーテ』キトリ

「艶やか(あでやか)」という言葉がある。大辞泉を引くと“[形動][文][ナリ]《「あて(貴)やか」の音変化》女性の容姿がなまめかしいさま。美しくて華やかなさま。「―にほほえむ」「―な衣装」[派生] あでやかさ[名]”という意。どうしてここでいきなり…

ダンサーを観る楽しみ 作品を見る楽しみ

今にはじまったことではないが、バレエの舞台を鑑賞する際、ダンサーで観るか、作品で観るかというのは人それぞれだといわれる。このところ世界的にスターが不在と嘆かれる。現代作品やコンテンポラリーとなると「振付家の時代」と目され、ダンサーは作品・…

ルジマートフ究極の名演『シェへラザード』金の奴隷

孤高の名ダンサー、ファルフ・ルジマートフ。長年にわたってクラシック・ダンサーとしてあらゆるレパートリーをこなし頂点を極めてきたが、表現者としての独自性は、クラシックを越境した近代バレエやモダンにおいてより発揮されていると思う。笠井叡『レク…

バレエ界待望の超新星!ダニール・シムキン!!

昨夏の「世界バレエフェスティバル」で大ブレイクした新星・ダニール・シムキン。ロシアのバレエ一家に生まれ、主要な国際バレエコンクールを総なめにして早くから注目される存在だったが、プロのダンサーとしての成長も目覚ましく、まさに飛ぶ鳥を落とす勢…

英国ロイヤル・バレエ『ロミオとジュリエット』

今年の一大イベントのひとつ英国ロイヤル・バレエ来日公演の最終演目のケネス・マクミラン振付『ロミオとジュリエット』は、スケジュールの都合上、リャーン・ベンジャミン&エドワード・ワトソン、吉田都&スティーブン・マックレーの2組で観ることになった…

今夏以後のブルノンヴィル関連のセミナー・公演

オーギュスト・ブルノンヴィル(August Bournonville 1805〜1879)は、19世紀前半のロマンティック・バレエ最盛期に活躍したデンマークのバレエマスター・振付家。その作品に特徴的な技術体系や思想をブルノンヴィル・スタイルとよぶのはよく知られよう。ブル…

谷桃子バレエ団『リゼット』と至宝プリマ・高部尚子

昨年から展開されている、老舗・谷桃子バレエ団の創立60周年記念シリーズの第5弾は『リゼット』全幕。牧歌的な農村を舞台にした喜劇バレエ「ラ・フィユ・マル・ガルデ」の谷版であり、1962年の初演以来大切に受け継がれるレパートリーである。ロシア経由のゴ…

英国ロイヤル・バレエ『うたかたの恋(マイヤリング)』

来日中の英国ロイヤル・バレエ団公演の目玉は、ケネス・マクミラン振付の大作『うたかたの恋(マイヤリング)』全三幕(6月22〜24日 東京文化会館)だろう。 これは、19世紀末オーストリア=ハンガリー帝国を統治するハプスブルク家の皇太子ルドルフの心中事件“マ…

NBAバレエ団・第7回トゥールヴィヨン公演『ジゼル』

NBAバレエ団『ジゼル』全幕(6月19、20日 メルパルクホール、20日所見)。ジゼル役には当初、パリ・オペラ座バレエ団のベテラン・エトワール、デルフィーヌ・ムッサンを招聘する予定だったが、右足の怪我のためキャンセルとなった。変わってオペラ座からプルミ…

英国ロイヤル・バレエ来日公演『リーズの結婚』

今年のバレエ界の重要イベントのひとつ英国ロイヤル・バレエ来日公演が始まった。 『リーズの結婚』は、ロベルタ・マルケスとスティーヴン・マックレー主演で観る。 リーズ役のマルケスは、小柄なのは気になるかもしれないが、難しいクロスやオフ・バランス…